ラスベガスのインバウンドを支える|労働組合Culinary Union

はの
こんにちは!
ラスベガスの「はの」です。

2023年11月16日から行われたF1ラスベガスGPの裏側では、ラスベガス最大の労働組合Calinary Unionと大手のホテル(MGM Group, Casers Palace, Wynnなど)の交渉が続いていました。

ホテル側としてはこの労働組合がストライキに入ると数千人規模の従業員が出社しない可能性があり、またラスベガスにある他の労働組合がこの団体をサポートする為に追加のストライキの可能性も。

ラスベガス大通り沿いにある大手ホテル企業ではF1のスポンサー&特別パッケージを販売しているので交渉に応じないわけにはいかない、、、

そのような駆け引きが行われていました。

そこで今回は、

・ラスベガス最大の労働組合とは?
・加入するメリット&デメリット
・ホテルで働いた体験談

について

ラスベガスのホスピタリティー業界を支える労働組合Culinary Unionについて実体験を交えてご紹介します。

そんな私はラスベガス在住18年、観光業界で約15年以上働いています。

それでは早速始めて行きましょう!

ラスベガス最大の労働組合

カリナリーユニオン(Culinary Union)はネバダ州のラスベガスとリノを中心に、ホテルやカジノで働く労働者約6万人を代表するラスベガスでは最大級の労働組合です。

この組合に加入している主な職種(ポジション)はコチラ。

・レストランのサーバー
・調理師
・カクテルウェイトレス
・ハウスキーパー
・バーテンダー
・ポーター
・ベル
・ランドリーなど

加入者の出身国:178か国
加入者の言語:40言語以上

カリナリーユニオンの公式ページのよると、ラテン系の方々が約半数以上の54%を占めており、実際にハウスキーピングで働くとスペイン語が日常的に飛び交っていました。

労働組合の大きな役割は、企業側と賃金、労働条件、健康保険、労働時間などの交渉。

今回の主な交渉内容

・賃金アップ
・福利厚生
・セキュリティーの向上(セクハラ、暴行、犯罪防止)
・ノルマの軽減

合意内容の一例

・過去88年間で一番大きな賃金アップ(具体的な金額は非公開)
・ハウスキーピングの仕事量軽減
・セキュリティープロテクションの強化
・5年契約

2023年 交渉合意企業

11月
・シーザーズ エンタテインメント
・ MGM リゾート インターナショナル
・ウィン リゾート

12月
・ミラージュ
・トロピカーナ
・フォー シーズンズ
1月
・Trump International
・West Gate
・Circus Circus
・Rio
・Sahara
・STRAT
・Treasure Island
・Plaza Hotel
・Golden Gate

2月
・The Downtown Grand Hotel & Casino

現在交渉中の企業

ストリップエリア
・サーカス サーカス
・ヒルトン グランド バケーションズ
・リオ
・サハラ ラスベガス
・ストラト
・トレジャー アイランド
・トランプ ホテル ラスベガス
・ヴァージン ホテル
・ウォルドーフ アストリア
・ウェストゲート

ダウンタウンエリア
・ビニオンズ
・サーカ
・ダウンタウン グランド
・エル コルテス
・フォー クイーンズ
・フリーモント
・ゴールデン ゲート
・ゴールデン ナゲット
・メイン ストリート
・D カジノ
・プラザ

メリット&デメリット

労働組合に加入する場合、加入者としてのメリット&デメリットをご紹介します。

メリット

交渉力の向上

労働組合に加入するとその組合を通じて会社側に労働条件や賃金などの交渉を強化することができるようになります。個人では到底戦えないような事でも集団交渉により力を持つようになります。

労働条件

安定した労働条件や健康保険、年金などの福利厚生を得られる機会があります。
カリナリーユニオンでは、アメリカ市民権プロジェクトで2001年以降18,000人以上がアメリカの国籍を取得しています。

法的サポート

万が一、加入者が会社との問題や紛争に直面した場合、労働組合は法的なサポートや助言を提供することがあります。

デメリット

組合費

組合費は給与から差し引かれることがあり一部の労働者にとっては費用負担となる場合があります。目安としてはフルタイムの仕事で1か月$50前後。

個人の交渉能力の低下

組合が労働条件の交渉を代行するため、個々の労働者が独自に交渉する能力が低下する可能性があります。

組合のポリシー

組合員として組合のポリシーや決定に従う必要があります。時には個々の意見や状況と異なる場合もあるかもしれません。

 

このカリナリーユニオンがあるコトによって、例え精神的、肉体的にきつい仕事でもアメリカである程度普通の生活ができてお給料・医療保険・有給休暇・トレーニングなどのベネフィットを受けることができます。

また経験や必要に応じては、学校へ行くために会社から授業料が支払われるようなベネフィットもありました。

またパートタイムやオンコールという雇用形態であっても、万が一仕事のスケジュールをされていたのにも関わらず会社都合で勤務開始前に帰宅される事があれば、労働組合との取り決めで出社した場合に貰えるはずの給料の半分が支払られる規定がありました。

ラスベガスのホスピタリティー業界で働く場合、労働組合に加入しているホテルか否かでは、福利厚生面に大きな違いがあることが分りました。

ホテルで働いた体験談

それではラスベガスの某ホテルに入社した時の体験談を交えながら、カリナリーユニオンについてご紹介します。

仕事が始まる前に必ず社員食堂へ行って、同僚を待っている間に先輩方が必ずしていた話題が3つあります。

それは、

・賃金
・ノルマ
・犯罪

それぞれご説明させて頂きます。

賃金について

私が働いたホテルは他のホテルに比べるとやや給料が高く($2ほど)、ラスベガスで長年この仕事をしている先輩方によると労働組合に加入していないホテルに比べると仕事はきついけど給料や福利厚生がいいということでした。

これに1週間$30前後のチップです。

ノルマについて

真面目にやっていると到底そのノルマには到達できない程の仕事量をホテルで働いて始めて感じました。

1日OO部屋を掃除出来ない場合、スーパーバイザーとマネージャーがやってきて厳しめにあれやこれやと言って帰っていました。

私が入社した時は、その部署では約10名程が一緒に採用され、3か月後には7名が辞めて残ったのは私を含めて新人3名のみだけでした。他のホテルで経験のある方々は口を揃えて、

「ここのホテルは賃金や福利厚生はまあまあ良いけど、ノルマ達成が厳しすぎてドラマが多いので体を壊す前に辞めるわ、、、」

ということでした。

またそのノルマは、トレーニング期間中に習った通りにやると到底時間内に終わらない数で、遅れている部屋があるとその階で早く終わった人がヘルプに行くという感じで、残業はほぼありませんでした。今回の交渉内容をみてみるとこのノルマ軽減が入っていましたので納得。

これまで日本とラスベガスで様々な力仕事をしてきましたので体力的には自信がありましたが、今までの経験を遥かに超える程の仕事量と精神を使う仕事とは正直入社するまでは想像していませんでした。

セキュリティーについて

宿泊者によっては大量にお酒を飲んでいたり変な薬(Drug)を飲んでいらっしゃる人もいるので、少しでも変だと思ったら即座にその場から逃げて上司に伝えるようにと口を酸っぱく言われました。

ラスベガスのローカルニュースを観ていても稀にハウスキーパーの人が何者かから危害を加えれらるという事件もありました。どうしても上司からは目が届かない場所があります。

まとめ

今回はラスベガスのホテルを支えるカリナリーユニオンについてご紹介させて頂きました。

2023年12月13日Tropicana Hotel Mirage Hotelも合意に至ったとニュースで流れ、その後12月21日にはFour Seasonとも合意に至ったメールがカリナリーユニオンから届きました。

日本においては今のラスベガスで起こっていることは対岸の火事かもしれません。しかしこれから移民の方々を受け入れるであろう20年後に起こる可能性も無きにしも非ず。

これからラスベガスを訪れる方にとって、ホテルを支えている労働組合=従業員の方々を少しでも知る機会になれば幸いです。

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こちらの記事の内容は、Calinary Unionのオフィシャルウェブサイトと実体験を元にしています。

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