ラスベガスの高級ホテルで働いたらこんな所だった!

はの
こんにちは!
ラスベガスの「はの」です。

噂では聞いていたラスベガスのホテル事情。実際に働いてみて分かったホテルの裏側。

ホテルで働く前はこのような疑問を持っていました。

・ホテルの裏側ってどうなっているの?
・ギャンブラーって本当にいるの?
・フロンドデスク以外の仕事は何?
・ホテルで働く人たちの生活って?

そこで今回は実体験を元にこのような疑問にお答えしていきたいと思います。

この記事を読むと

・巨大なホテルに隠された地下街
・ギャンブラーしか宿泊できない特別室
・ラスベガスのホテルにある意外なポジション
・ホテルで働くメリットとデメリット

をサクッと3分で知るコトができます。

それでは早速始めて行きましょう!

ホテルの仕事

(写真は参考です)

ラスベガスのホテルではハウスキーピングの仕事をしていました。

この仕事は芸能人やアメリカのセレブが宿泊するような1泊50万や100万のスイートルームやホテル最上階にあるカジノVIP用のお部屋を掃除したりと、毎日が体力と時間との勝負でした。

自腹では絶対に泊まることができないホテル高層階かつ角部屋からの眺めはラスベガスが一望でき、視線を下に向けると地上階にあるプールの脇ではPCを広げて仕事をしている役職者風の若い人、カクテルを飲みながら読書している優雅な女性を見ては羨ましく思ったものです。

1日8~10部屋を担当している中で、お部屋によっては食べた後のゴミがベッドの周りに散乱いるかと思えばお部屋全体がすっきりと整理整頓された部屋があり、

例え一泊だけでの宿泊であったとしてもそのお客様がお使いになられたお部屋を見るとまるで人の心の中を見るようでした。

こんまりさんの「Watch Tidying Up with Marie Kondo(Netflix番組)」に出てくるように、お部屋が極端に散らかっている場合はその人の心や体が乱れているのかなと勝手に想像していました。

そしてラスベガスのハウスキーピングの仕事は「Tipが高い!」と噂では聞いていましたが、実際にはあまりなかったです。あまりというかほぼないと思っていたほうがいいかもしれません。

日本で紹介されている旅行雑誌やウェブには「アメリカにはチップの習慣がありますので枕元には1泊$1~2のチップを置いておきましょう!折り紙などをチップと一緒に添えると受け取る側には大変喜ばれます」

とこの習慣を守っている人は日本人の方々とチップ文化で生きている一部の方々なのかなと感じていました。

たまに「お部屋を綺麗にしてくれてありがとう!」というメッセージが一言添えられている時は、Tipを頂くよりもその言葉の方が嬉しかったです。

はの
この仕事を通してお金よりも大切なコトを勉強をさせて頂きました。それが一番大切なの学びでした。

地下の隠された街

従業員専用の入口から一歩ホテルの中へ入ると、先ずは空港にもあるような「セキュリティーチェック」を受けます。

従業員であっても職場に危険物を持ち込んでお客様や同僚&上司に危害を加えはいけませんのでバックの中まで検査されます。毎朝、そこのセキュリティーチェック前には長蛇ができていましたので、それを見越して早く家を出なければなりません。

そしていざ中へ入って行くと地下になっていて、一つの街になっていました。

そこには従業員専用のレストラン、看護師さんが常駐している医務室、巨大な洗濯室、制服を管理する巨大なクリーニング屋、裁縫屋、靴磨き、売店、ジム、トレーニングルーム等々は、まさに隠された地下の街そのもの。

入社当日にホテルの見学ツアーが行われましたが広すぎて目が回る程でした。

またお客様が使うエレベーターと従業員が使うエレベーターは完全に分かれていましたので、ばったりお客様に会うという事は全くありません。

仕事で出会った人

ホテルの社員食堂では国籍に関係なく色々な人に出会いました。

ある日いつもの場所に座って仕事の開始時間を待っていると、見知らぬ従業員の女性が「ここに座ってもいい?」と一緒に座ってお喋りをするうちに仲良くなって社内のコトや仕事のコトを色々と教えてくれるようになりました。

彼女は元々ハウスキーピングで働いていたそうですが、そこから異動してイタリアンレストランで下ごしらえをするシェフとして働いていました。

ハウスキーピングをしている時は仕事がハード過ぎて家に帰っても家族と過ごす時間が全くなく、将来の為に勉強するコトなども何もできなかったそうです。

このままでは体を壊していずれ働けなくなると思って、仕事が休みの時にはユニオン(労働組合)が主催している調理のトレーニングに参加して運よくレストランのポジションに就いたのと教えてくれました。

彼女は南米出身で母国語がスペイン語なのにあのスペイン語グループの輪に入らないのかを尋ねたところ、あの輪に入るとドラマが多いから彼女は一人の方がいいということでした。(ドラマは後で知ることにもなりました)

そんな彼女が働いていたレストランはアメリカの口コミサイト「yelp」でも評価が高いお店。

レストランにあるパスタは全部私達の手作りで、他のお料理もとっても美味しいよ!

と自慢げに話してくれました。

そのレストランはラスベガスにゆかりのある人の名前が付けられていた高級イタリアンレストラン、それを彼女が影で支えているお店。

はの
あの女性はまだあの店で頑張ってるのかな?

そこの職場ではもう一人別の女性(マリアさん)にも出会いました。

彼女はメキシコ出身で母国語もスペイン語なのにいつも英語で話していました。たまに同じ階のお掃除担当になると仕事の待ち時間に家族のコトや仕事の話をするうちに、

「なぜいつも英語で話していて、他の同僚のスペイン語グループの輪の中には入らないの?」と尋ねたところ返ってきた答えが

「だってその輪に入り続けたら英語が話せなくなるし、英語が話せたら仕事の幅も広がって給料も上がるのよ!

そうしたらイヤな仕事をしなくて済むし自分で仕事を選べるようになりたいから英語で話すようにしてるの!」

という正論が返ってきてびっくりしました。更に続けて、

「休みの日はユニオン主催の別の仕事のクラスを受けていて1日も早くこのポジションから脱出したい!」

と話していました。

彼女いわく「あなたがもし別のことに興味があってやりたいコトがあるのであれば、1日でも早くスキルや経験を取得して別の道を探したほうがいいよ!だって私たちの人生ってそんなに長くないかもしれないからね。

そして英語が話せるとチャンスが広がるんだから普段から英語で話しておかないとすぐに忘れるよ!」

と、そんなマリアさんは2人の子供がいるお母さん。続けてもう一言、

毎日子育て・家事・仕事・トレーニングで忙しいけど、今やっていることは永遠には続くコトではないから、子供や家族の将来を考えると今は頑張れるの!

あの力強い言葉は今でも忘れられません。

ラスベガスのホテルでは育った環境は違えど「人としての生き方や考え方」を学んだ事のほうが大きかったように感じます。

はの
「英語が仕事の手段となれば、自分の可能性をより大きく広げることができる」という事を教えてくれたマリアさん。今もラスベガスの街で家族の為に頑張っているコトと思います!

ギャンブラー限定の特別室

特別室の場所

ラスベガスの高級ホテルでハウスキーピングとして働いて一番びっくりしたことは、本物のギャンブラー限定の特別室があったことです。

その前に本物のギャンブラーとは「長期に渡って高額を掛け続けるお客様」ということをトレーニングの時に習いました。

1週間だけ一攫千金を狙ってラスベガスにいらっしゃる人はこの部屋には泊まることはできません。この部屋に泊まれる人はこの種のギャンブラーとホテルの社長。

実際のところ「本物」のギャンブラーが宿泊する特別ルームってどこにあると思いますか?

・カジノのテーブルゲームの下
・スロットマシーンの裏
・金庫の中
・ホテルの屋上
・噴水の中

はの
答えは1階です!
私が働いたホテルの情報ですが本質はどのホテルも同じだと思います。

カジノフロアーからお部屋までの導線が一番短いところにありました。
(バカラやVIP専用ハイリミットのスロットマシーンの近く)

部屋の中

気になるお部屋の中は地上2階建てで、私の家(3ベッドルーム/約1600スクエアフィート)の3~4倍はありましたので約5500スクエアフィート(約280畳)くらいの広さで、

大きなベッドルーム3部屋、マッサージルーム1部屋、キッチン、ダイニングルーム、会議室、庭にはプライベートプールなどなど。

キッチンには専用のワインクーラーが取り付けられており、ギャンブラーの要望によってはソムリエやプライベートシェフがお部屋で料理をすることもあるそうです。

夜から朝方までギャンブルをするお客様の為に、窓には光を通さないシャッターとカーテンが3重に備え付けられておりもちろん全自動での開閉。

そのお部屋を見た感想は「すっご~い!豪華な部屋!こんな家に一度は住んでみたい。」

そのホテルではこのような部屋が4室あり、その内1部屋はそのホテルの社長さんが住んでおりその他はそんなギャンブラーさんの専用の部屋になっていました。

ちなみにホテルの高層階は、有名人、セレブ、カジノVIPが優先的に宿泊できるお部屋で、ラスベガスの街が一望できて眺めが最高でした!

ホテルのマーケティング

ラスベガスのホテルは

「いかに長くお客様がカジノフロアーに滞在してギャンブルをするか」

を徹底的に調査しています。

その為多くのホテルではカジノフロアーに窓と時計がないのです。時間の流れを感じさせないようなデザインになっています。(最近はこれが変わりつつあります。)

またカジノフロアーから客室へ向かうと、そこには人間が快適と感じるインテリアや居心地のよい空間、音楽が流れています。

客室の中にあるソファーなどは見た目はお洒落で素敵ですが座り心地の悪いソファーが置いてあることもあります。お客様に長く客室に滞在されては困るからです。

ギャンブルをする人に対しては、無料のアルコールを提供しておりカジノフロアーではたばこも吸えます。

食事を食べる為にはカジノフロアーを通らなくてはならない設計にもなっていますので、人間の心理を研究し尽くしたマーケティングがラスベガスのホテルでは見ることができます。

はの
人の行動や考えるコトって万国共通だから、心理学に基づいてサービスや商品ができているのですね!

多様なポジション

ポジションの例

ラスベガスのホテルは、ホテルの客数x3倍の従業員が働いていると言われています。

例えばMGM Grandの客室数は6,852室なので約20,556人が働いている計算です。

どのホテルでも採用する部署はホテルとは別のところにオフィスビルがあり、コロナ前は毎日100人単位のグループ面接や採用の手続きが流れ作業のように行われていましたので、このような巨大なホテルになると辞める人を見越しての採用が行われています。

さて巨大ホテルには様々なポジションがありました。

例えば、

・自家用機のパイロット
・フライトアテンダント
・K-9警察犬
・裁縫
・クリーニング
・ガーデニング
・靴を磨く人
・看護師
・ショーのスタッフやパフォーマー
・カジノホスト
・レストランサーバー
・シェフ
・バンケット専門スタッフ
・フラワーアーティスト
・インテリアデザイナー
・コールセンター
・チケットセンター
・リムジン運転手

もちろん普通の会社にあるような会計、ファイナンス、営業、マーケティングなどのポジションもあり、ラスベガスのホテルではスキルがあれば何かしらの仕事が見つけられます。

仕事の形態

・フルタイム(正社員)
・パートタイム
・期間限定(忙しい時期だけ)
・オンコール(必要な時に電話が掛かってくる)
・コントラクト(会社と直接契約)

フルタイムになると会社から医療保険、401K、有給休暇などのベネフィットを受けることができます。

ハウスキーピングの仕事では、ユニオンとホテルの取り決めでパートタイムやオンコールでも一定時間以上を継続的に働くとベネフィットを受けることができました。

ユニオンワーカー

ホテルの従業員は労働組合(ユニオン)に加入しているところが多いです。

レストランのサーバー、シェフ、カクテルウエイトレス、ハウスキーピングなどが加入している「カリナリー労働組合」はラスベガスの中でもとても大きな組織で、その労働組合とホテルの取り決めで仕事の役割がはっきり分かれていました。

その為、自分たちの仕事以外はやってはいけない暗黙のルールが存在します。

例えば、ホテルの宴会場で立食パーティーが行われる場合、料理はXX部署のケータリング担当者、食事を運ぶサーバーは宴会チームの担当者、テーブルや椅子をセッティングするのはレーバーの部署などと細かく分かれているので、

サーバー担当者はお客さんのテーブルでお酒やお料理を提供するのみで、それ以外の仕事は直属の上司の指示がないとできないのです。

お客さんが「椅子が1つ足りないから裏から持ってきて!」とサーバーに伝えても、そのサーバーはレーバーのチームに伝えるだけで、自ら椅子を持ってくることはしません。

はの
ハウスキーピングでも同じでカーペットが汚れていてもカーペットを掃除する部署に連絡をするまでが仕事で、実際にカーペットを綺麗にすることは仕事の役割に含まれていませんでした。

メリット&デメリット

メリット

ホテルで働くメリットとして給料面を挙げる人がいるかもしれませんが、私は「社員食堂の美味しいお食事」でした。働いていたホテルには立派な社員食堂があり1日1回は無料で食事ができます。

週替わりのメニューや季節限定の特別メニューなんかもあり、あの社員食堂にはもう一度行きたいな!なんて今も思います。

軽食(デザート・コーヒー・フルーツ・ヨーグルト等)であれば1日に何度でも利用できるので、仕事終わりはそこで井戸端会議や反省会が行われている様子でした。

デメリット

ラスベガスのホテルは敷地が広く駐車場はホテルの敷地外にあることもありますので、駐車場から仕事の現場へ行くまでに、歩いて片道30分くらい掛かる場合があります。

これが往復で1時間、通勤に片道30分掛かると仕事以外に掛かる時間の合計が1日2時間になりますので、
時間はお金と考えてその点は注意が必要。

そして眠らない街のラスベガスは24時間営業。ポジションによっては2~3交代制でシフトが組まれますので、もちろん夜中に働く場合もあります。

その為そのようなポジションで働く場合には採用の時に必ず夜中に働く場合があるけど問題ないかという質問がされ実際にホテルで働きだすと遅刻や欠席には非常に厳しいです。

1年に10回遅刻したら解雇というはっきりとした取り決めがありますので、遅刻した理由が何であれ容赦なく解雇されます。

まとめ

今回は、ラスベガスのホテルで働いたみて分かったホテルの裏側をご紹介させて頂きました。

ホテルの地下にある小さな街、本物のギャンブラーと社長した泊まることが出来ない特別室、ホテルにあるポジション、信じられないほど美味しい社員食堂、ホテルが広すぎて職場になかなか辿り着かないことなど、

これからラスベガスに旅行される人にとっては、また違ったラスベガスを感じることができると思います。

巨大ホテルの裏側には家族の為にせっせと働くマリアさん、日本食レストランでは日本人シェフやサーバーの方々が頑張る姿、ショーに出演しているパフォーマーさん、セールス&マーケティングの方々がいるからこそこのラスベガスが成り立っていると感じます。

影ながらそんなラスベガスで頑張る方々を応援しつつ、情報発信で何かのお役に立てたらいいなと思っています!

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